この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
交際相手との喧嘩し,その際にカッとなって暴力を振るってしまい,傷害により逮捕されてしまった。交際相手に謝罪して,すぐに外に出たいが,警察に携帯電話を押収されており,交際相手と連絡を取ることができない。
解決への流れ
接見後直ちに捜査を担当している警察官と話をし,弁護士の電話番号を被害者に伝えるか,被害者の連絡先を弁護士に教えてほしいと要請しました。また,被疑者と被害者の共通の知人と連絡をとり,弁護士が被害者と話をしたがっていると伝えてるよう,お願いをしました。すると,警察は,被害者に確認をすると約束したにもかかわらず,被害者に連絡をすることがなかったため,警察から被害者の連絡先を入手することはできませんでしたが,加害者と被害者の共通の知人から被害者の連絡先を入手することができ,逮捕の翌々日には,示談を成立させました。もっとも,示談が成立したときには,被疑者は既に勾留(捜査のために10日間身柄拘束を継続する手続き)されていたため,勾留決定に対する準抗告を行い,勾留決定の取り消しを認めさせ,被疑者の身柄開放に至りました。
この事件は,逮捕後間もなく連絡を頂いたため,身柄開放に向けて迅速な行動をとることができました。ポイントとしては,①弁護士への連絡が早かったこと,②被害者と連絡を取るために,共通の知人に”架け橋”のお願いをしたこととです。弁護士への連絡が早ければ早いほど,身柄開放に向けた行動を早く起こせるので,結果として身柄の早期解放につながります。このケースは,逮捕直後に弁護士への連絡があったため,逮捕の当日から身柄開放に向けて示談に向けて動くことができました。また,警察の不誠実な対応に備え,共通の知人を探し出して連絡を取ったことも早期の示談成立につながりました。ときおり,警察は,やるべきことをやらないことがあります。このケースでは,被害者への確認は,示談の可否に直結するものであり,示談の成否は,被疑者の身柄開放に当たり重要な事項になります。警察が,被害者への確認を1日遅らせると,被疑者の身柄開放が1日遅れることにもなりかねませんので,このケースにおいて,警察が被害者への確認をすることは,非常に重要なのです。しかし,警察は,捕っていることの苦痛などを考えもせず,仕事を懈怠することがあります。警察が懈怠をしてもなお,身柄の早期解放に向けてあらゆる手段を尽くすことが弁護人の役割になります。このケースでは,共通の知人を探し出せたことが,身柄の早期解放の鍵となりました。また,勾留決定に対する準抗告は,認められないことが多いのですが,このケースでは,被疑者が犯行を認めていたことや示談が成立していたことなどから,珍しく準抗告が認められました。