この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
依頼者の妻が事前の話し合いもなく実家に帰り、別居状態で離婚請求をしてきた。その中で、依頼者に対して根拠のない過大な慰謝料を請求してきた。依頼者は、離婚することはやむを得ないが、慰謝料を支払う理由はなく、慰謝料は認めないとのご希望だった。
解決への流れ
協議の中で、依頼者の妻が主張している慰謝料について、事実が存在しないことや慰謝料が発生するような事実ではないことを説明したことで、慰謝料は難しいことを理解して貰い、慰謝料なしで離婚に合意することができた。
離婚の際の慰謝料には、その行為自体の慰謝料とその行為によって離婚することになったことの慰謝料の2種類があります。いずれにせよ、そのような行為があったか否かと慰謝料が発生する行為かどうかが問題となります。前者(行為の有無)は証拠が重要となりますが、後者(有責性)については、不貞行為などはわかりやすいですが、モラハラや性格の不一致などでは、必ずしも一方に離婚に至った責任があるとはいえないケースが多くあります。本件では、依頼者には明確な責任があるとは言えないケースであり、慰謝料請求には根拠が不十分であったと言えます。そのため、丁寧に説明をし、理解して貰うように努めました。ただ、徹底的に争うことで離婚までに長期間がかかるようなケースでは、争うことによって得られるメリットとデメリットを冷静に分析し、柔軟な解決策を模索することも必要になります。ケースごとにメリットデメリットは異なりますし、お気持ちも重要ですから、どのような解決が最もご自身にとって納得できるか、弁護士にご相談頂きたいと思います。