11644.jpg
嘘つき、トラブル多発…仕事のできない後輩を注意したら「パワハラ」と反撃 相手の気持ちだけで認定されるの?
2024年05月08日 09時53分
#パワハラ

相手に明らかな落ち度があるのに、後輩を注意しただけで「パワハラ」になるのでしょうかーー。

弁護士ドットコムにこんな相談が寄せられています。

相談者によると、その後輩は嘘をついたり、預かり金などの管理が杜撰だったりするためトラブルが多発。上長に何度も訴えたものの、何も改善されず、「仕方なしに私がその都度注意をしていました」といいます。

後輩に面と向かって注意することはほとんどなく、職場で共有すべきことを記入するノートに書いて伝えるようにしていました。直接注意する場合でも暴言や批判は一切していないといいます。

ところが後輩はそれを「パワハラだ」と言い始めたそうです。相談者は「パワハラだと言われて大変ショック」だと感じたものの、念のため、上の役職者に共有ノートを確認してもらいました。すると「まったくの正論でこれがパワハラだというのはおかしいと思う」と言われたそうです。

「相手の気持ちや上長の判断だけでパワハラになってしまうのでしょうか?」と困惑しています。このような相談者の行為はパワハラにあたるのでしょうか。また、相談者はどのように対応すべきでしょうか。小野山静弁護士に聞きました。

相手に明らかな落ち度があるのに、後輩を注意しただけで「パワハラ」になるのでしょうかーー。

弁護士ドットコムにこんな相談が寄せられています。

相談者によると、その後輩は嘘をついたり、預かり金などの管理が杜撰だったりするためトラブルが多発。上長に何度も訴えたものの、何も改善されず、「仕方なしに私がその都度注意をしていました」といいます。

後輩に面と向かって注意することはほとんどなく、職場で共有すべきことを記入するノートに書いて伝えるようにしていました。直接注意する場合でも暴言や批判は一切していないといいます。

ところが後輩はそれを「パワハラだ」と言い始めたそうです。相談者は「パワハラだと言われて大変ショック」だと感じたものの、念のため、上の役職者に共有ノートを確認してもらいました。すると「まったくの正論でこれがパワハラだというのはおかしいと思う」と言われたそうです。

「相手の気持ちや上長の判断だけでパワハラになってしまうのでしょうか?」と困惑しています。このような相談者の行為はパワハラにあたるのでしょうか。また、相談者はどのように対応すべきでしょうか。小野山静弁護士に聞きました。

●「相手の気持ち次第でパワハラになる」は間違い

まず、「相手の気持ちや上長の判断だけでパワハラになってしまう」というのは誤りです。

パワーハラスメントとは、職場において行われる(1)優越的な関係を背景とした言動であって、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、(3)労働者の就業環境が害されるものであり、(1)から(3)までの3つの要素を全て満たすものをいいます。

そのため、後輩や部下の言動に問題があって注意・指導した場合、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正なものであれば、パワーハラスメントには該当しません。

他方、たとえ後輩や部下に問題行動があった場合であっても、部下の人格を否定するような言動など業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであれば、パワーハラスメントに該当します。

長時間にわたって厳しい叱責を繰り返したり、他の労働者の面前で大声で叱責をしたりするのも、業務上必要かつ相当な範囲を超えていると見られる可能性があるため注意が必要です。

●後輩の問題行動には上長と情報共有しながら対応

相談者は、後輩に面と向かって注意することはほとんどなく、職場で共有すべきことを記入するノートに書いて伝えるようにしていて、直接注意する場合でも暴言や批判は一切していないとのことです。

これが事実であれば、業務上必要かつ相当な範囲を超えたパワーハラスメントにはあたらないといえます。

今後も後輩の問題行動が続くようであれば、上長や上長の上の役職者と状況を共有し、その内容や頻度を考慮しながら、注意・指導を行っていくことが重要です。

場合によっては、上長から注意・指導を行ってもらうよう要請することも必要だと思います。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る