16483.jpg
脱毛、シミ除去「美容医療」中途解約可能に…弁護士「緊急性ないので、慎重に考えて」
2017年07月11日 08時37分

特定商取引法の政令が改正され、今後、美容医療でもクーリングオフが可能となった。6月27日に閣議決定され、今年(2017年)12月1日に施行する。エステサロンで結んだ長期契約は解約できたが、医療機関でおこなう同様のサービスは対象になっていなかった。医療脱毛のクーリングオフや中途解約ができないため、消費者保護に欠けるとの問題が指摘されてきた。

国民生活センターには昨年、約2000件の美容医療に関する相談が寄せられるなど、トラブルは数多く発生していた模様だ。今回の法改正により、どのような影響があるのか。また消費者問題に詳しい弁護士はどのように評価しているのだろうか。上田孝治弁護士に聞いた。

特定商取引法の政令が改正され、今後、美容医療でもクーリングオフが可能となった。6月27日に閣議決定され、今年(2017年)12月1日に施行する。エステサロンで結んだ長期契約は解約できたが、医療機関でおこなう同様のサービスは対象になっていなかった。医療脱毛のクーリングオフや中途解約ができないため、消費者保護に欠けるとの問題が指摘されてきた。

国民生活センターには昨年、約2000件の美容医療に関する相談が寄せられるなど、トラブルは数多く発生していた模様だ。今回の法改正により、どのような影響があるのか。また消費者問題に詳しい弁護士はどのように評価しているのだろうか。上田孝治弁護士に聞いた。

●今後どのような対応ができるようになる?

「従来、美容医療は、皮膚や身体に医学的処置を施すことから医療行為であって、単なる皮膚の美化などのいわゆるエステではないとして、特定商取引法の特定継続的役務提供(エステ、語学教室、学習塾など)の規制を受けていませんでした。

ところが、実際には、美容医療に関して、緊急性がないにも関わらず強引に急いで契約させたり、契約内容やサービス内容の説明が適切になされていなかったり、虚偽・誇大広告により店舗へ誘導させるなどのトラブルが多くありました。

そこで、今回の法改正により、美容医療のうち一定の範囲のものについては、特定商取引法の特定継続的役務提供として、エステなどと同様の規制を受けることになりました。

これにより、美容医療の契約をした場合でも、契約書面の交付から8日以内であれば無条件に契約を解除できるクーリングオフや、契約期間の途中で中途解約をすることで、まだ提供を受けていないサービスの対価を支払わなくてもよいといった契約者を保護する様々なルールが適用されることになります」

●対象となるのは「5種類」に限られる

残された課題はないのだろうか。

「今回、規制対象となった美容医療は、脱毛、にきび・しみ・刺青などの除去、シワ・たるみ取り、脂肪の溶解、歯の漂白の5種類に限られています。さらに、サービス提供期間が1か月を超え、支払総額も5万円を超えるものとされていますので、特定継続的役務提供にあたらない美容医療もたくさんあることになります。

一般の医療については、緊急に治療を行う必要性が認められるケースが多くあるのに対して、美容医療についてはそのような緊急性はほとんどありません。今回、美容医療の一部が規制対象にはなりましたが、そもそも、美容医療の契約をすること自体、ゆっくりと慎重に考えることが何よりも重要です」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る