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スマホゲームにはまる妻「課金総額200万円」「子ども放置」離婚原因になるのか?
2016年08月08日 09時47分

スマホゲームに依存する妻が200万円を越える課金ーー。ゲームに熱中するあまり、子どもの面倒を見ないという妻との離婚を考える夫(35)の悩みが、ネットの掲示板で話題になった。

専業主婦の妻(30)は、1日中スマホゲームに夢中で、夫の渡す給料から月に15万円ほど課金。これまでに費やした総額は、200万円を超えるという。5歳の子どもの食事はレトルト食品で済ませ、休日はゲームのオフ会に通っているそうだ。夫は「家も荒みきってるし、どうしようもない」と嘆いている。

スマホゲームに依存し、課金をやめないことは離婚の原因になるのでしょうか。吉田雄大弁護士に聞いた。

スマホゲームに依存する妻が200万円を越える課金ーー。ゲームに熱中するあまり、子どもの面倒を見ないという妻との離婚を考える夫(35)の悩みが、ネットの掲示板で話題になった。

専業主婦の妻(30)は、1日中スマホゲームに夢中で、夫の渡す給料から月に15万円ほど課金。これまでに費やした総額は、200万円を超えるという。5歳の子どもの食事はレトルト食品で済ませ、休日はゲームのオフ会に通っているそうだ。夫は「家も荒みきってるし、どうしようもない」と嘆いている。

スマホゲームに依存し、課金をやめないことは離婚の原因になるのでしょうか。吉田雄大弁護士に聞いた。

●「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するか?

民法770条1項は「夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる」と規定し、裁判上の離婚原因を5つ示しています。

本件では第5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するか否かが問題になるでしょう。

スマホゲームに依存し、月々多額の課金を続ける反面、子育てもおろそかになり、家の中は荒んだ雰囲気になっているとのことですから、この男性としては、いくら働いても無力感を感じてしまいますよね。

また、月15万円といえば大金です。おそらくは家計にも影響を及ぼしていることでしょうから、何とかしたいと考えるのも当然です。

しかしながら、「浪費が離婚原因になるか」ということだけで分析、判断することは、実を言えばあまり意味がありません。

というのも、過去の裁判例を読み解いてみても、浪費の主張がなされている事案であっても、その事情だけで離婚の是非が判断されている事件は、まずないからです。

●裁判で離婚する場合、ありとあらゆる事柄が判断の対象に

実際の裁判では、さまざまな事情を総合的に判断して、離婚の是非が判断されます。それだけ民法770条1項5号は、守備範囲が広いといえるのです。本件に即して言えば、少なくとも次のような事情が問題になるでしょう。

・夫婦の経済的一体性の有無・程度(財布が同じかどうか)

・片方当事者によるお金の使い方が家計全体の中でどの程度の歪みを生んでいるのか、

・当事者の受け止め方や夫婦の話し合いの状況(しばしば口論の際の不適切な発言や暴言なども問題視されます)

・借金や互いの親族との関係悪化等の派生問題が生じているか(そして、その深刻さ)

こうした判断要素の中でも、夫婦のコミュニケーションがどの程度取れているのかについて、裁判所は比較的重視する傾向にあります。

●妻の浪費を防ぐため、「生活費を渡さない」という手段はアリ?

多くは離婚を求める側が話し合いを打ち切り、裁判所に手続を委ねるという構図があるわけですが、妻がゲームに夢中になって、夫からの注意に耳を貸さないということであれば、その逆、つまり妻側がコミュニケーションを拒絶している可能性もあるわけです。

そのあたりも丁寧に聞きとらないと何ともいえませんが、今回のケースを見る限り、この男性は妻の振るまいにうんざりする余り、関係改善を諦めているようにも見えるのが気になります。

こうした事例でいざ調停・裁判になった場合、妻側から「私が未熟だった、話し合って改善したいと思う」という反論を徹底されたら、離婚という結論に至るかどうかはかなり怪しいと言わざるを得ないでしょう。

また、今回の事例からは明らかではありませんが、月15万円の課金ということですから、おそらくスマートフォンは家族契約で、夫が一括支払をしているのではないかと推測します。

法律的な手立てとしてはまず、携帯電話の契約方法を見直して家族契約を解き、妻自身の名義で改めて契約させる等のことも考えられるでしょう。

他方、たとえば妻の浪費を止めさせるという名目であっても、生活費を「一切渡さない」等の方法はおすすめできません。

せめて「家計管理を任せきりにしていたけれども、これからは必要なものがある度にお金を渡すようにしたい」というべきですが、それでもスマホゲームの課金を防ぐ効果があるかといえば疑問かもしれません。

(弁護士ドットコムニュース)

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