8432.jpg
東京医大・日大への私学助成金に「待った」 国が「不祥事」を重くみた理由
2018年10月25日 09時52分

大学に交付する「私学助成金」の事務を担う日本私立学校振興・共済事業団(文部科学省所管)は、不祥事を起こした東京医科大と日本大を含む6学校法人について、2018年度分の私学助成金を支払うかどうかの判断をいったん保留した。保留決定は10月23日付で、最終判断は2019年1月ごろになる見通し。減額となれば、大学にとって痛手となりそうだ。

大学に交付する「私学助成金」の事務を担う日本私立学校振興・共済事業団(文部科学省所管)は、不祥事を起こした東京医科大と日本大を含む6学校法人について、2018年度分の私学助成金を支払うかどうかの判断をいったん保留した。保留決定は10月23日付で、最終判断は2019年1月ごろになる見通し。減額となれば、大学にとって痛手となりそうだ。

●「減額条項に明らかに引っかかる」

事業団が弁護士ドットコムニュースの取材に対し、明らかにした。担当者によると、助成金の交付に関して議論するため、事業団では10月23日に運営審議会(外部有識者で構成)と理事会を相次いで開いた。運営審議会の意見を受けて、理事会として助成金を交付するか、いったん判断を保留するかなどを決定するスキームになっている。

東京医大は前理事長らが贈賄罪で起訴される刑事事件に発展しており、「減額条項に明らかに引っかかることが確認された」(担当者)。助成金の取扱要領では減額・不交付になる場合を列挙しており、そのうちのひとつが「学校経営に係る刑事事件により役員又は教職員が逮捕及び起訴されたもの」と規定されている(取扱要領4(1)ク)。

日大については、アメリカンフットボール部の悪質タックル問題で、学校の管理運営が不適切な疑いがあることが問題視されたとしている(取扱要領4(1)シ)。

●最終決定は来年1月

助成金は通常、毎年10月ごろ開催の審議会における審査を踏まえて支給が決まり、大学側が申請してきた額の半分程度が12月に支払われる(1次交付)。

そのうえで1月に再び審議会を開き、支給が決まれば残りの額を3月に支払う(2次交付)。この1次交付と2次交付を足し合わせた額が、年度を通じた支給額になるという。2017年度の支給額は東京医大が23億円(大学別で25位)、日大が91億円(同2位)だった。

10月23日に開いた審議会は、あくまで現時点での支給判断を保留したもので、最終的に減額や不交付とするかは1月に下される決定にかかっている。ただ、東京医大の場合なら、たとえば刑事事件の一連の捜査が誤っていたなど前提条件が大きく変わらない限り、判断が逆転するハードルは高いとみられる。

(取材:弁護士ドットコムニュース記者 下山祐治)早稲田大卒。国家公務員1種試験合格(法律職)。2007年、農林水産省入省。2010年に朝日新聞社に移り、記者として経済部や富山総局、高松総局で勤務。2017年12月、弁護士ドットコム株式会社に入社。twitter : @Yuji_Shimoyama

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る