文化祭の出し物として「カジノ」を企画し、お菓子を賭けて遊びたい──。
都内の私立中高一貫校で文化祭の実行委員をつとめる中学2年の女子生徒は、学内から上がったそんな案に「違法じゃないの?」と不安を感じているといいます。
文化祭の出し物ですから、カジノ風ゲームといったところでしょうが、それでも注意が必要です。刑法上、金品を賭けて勝敗を争う行為は「賭博」として処罰の対象となるからです。
一方、SNSでは、学校の文化祭で「カジノ」をやったという投稿も散見されます。安全に楽しむには、どんな点に気をつければよいのでしょうか。学校問題にくわしい柴崎菊恵弁護士に聞きました。
●「カジノ」利用は賭博にあたる
──そもそも日本でカジノを利用した場合、どのような刑罰に問われますか。
国内でカジノは合法化されていません。賭博罪をした者は50万円以下の罰金または科料に処する(刑法185条)と定められています。つまり、国内でカジノに参加すれば、賭博罪が成立する可能性があります。
常習的にカジノに参加すれば、さらに重い「常習賭博罪」となり、3年以下の拘禁刑に処せられるおそれもあります(刑法186条)。
最近では、芸能人やスポーツ選手がオンラインカジノを利用したとしてニュースとなりましたが、海外では合法でも、日本からアクセスして現金や電子マネーを賭ける行為は犯罪です。
スロットやカードゲーム、ルーレット、格闘技・スポーツの勝敗など、どんな形式であれ"金品を賭けること"自体が問題になります。軽い気持ちでも絶対に手を出してはいけません。
●お金ではなく「お菓子」なら大丈夫?
──では、文化祭で「お菓子」を賭けた場合はどうでしょうか。
刑法185条には「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない」という但し書きがあります。
その場で食べてしまえるような少額のお菓子なら、通常は賭博罪に該当しないと考えられています。「お菓子」の賭けに参加した程度であれば、違法になる可能性は低いと思います。
●「参加費をとらず、勝者に何も渡さない」
──文化祭の出し物として「カジノ」を企画する場合、どういう点に気をつけるべきでしょうか。
文化祭であっても、ディーラーとして賭博の相手方となれば賭博罪が成立し得ますし、運営側が利益を得る仕組みを作れば「賭博場開帳図利罪」(刑法186条2項)にも問われかねません。
賭博とは、偶然の勝敗により財産的利益の得失を争う行為です。たとえば参加費を集めて、勝った人が総取りするような仕組みだと、賭博に該当するリスクがあります。
そのため安全に楽しむためには、参加費を無料にして、財産的利益を得ないこと。そして、勝者に何も渡さないことが一番です。もし景品を出すとしても、アメやラムネなど、"その場で食べて終わる程度"のものにとどめておきましょう。