8634.jpg
テレビ局のバラエティ収録でセクハラ、女性フリーアナが法廷で訴え「人生を賭けて提訴」
2025年10月03日 14時12分
#セクハラ #あいテレビ

バラエティ番組の収録中に男性共演者からセクハラ行為を受けたのに局側が防がなかったとして、フリーアナウンサーの女性が、TBS系列局「あいテレビ」(愛媛県松山市)に慰謝料など計約4100万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が10月3日、東京地裁(吉川泉裁判長)で開かれた。

原告の女性は法廷で意見陳述し「逃げ場のない状況で、唐突に性加害を受け、見せ物のように嘲笑され、それを公にさらされる耐えがたい体験は、決して忘れられるものではありません」とうったえた。

バラエティ番組の収録中に男性共演者からセクハラ行為を受けたのに局側が防がなかったとして、フリーアナウンサーの女性が、TBS系列局「あいテレビ」(愛媛県松山市)に慰謝料など計約4100万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が10月3日、東京地裁(吉川泉裁判長)で開かれた。

原告の女性は法廷で意見陳述し「逃げ場のない状況で、唐突に性加害を受け、見せ物のように嘲笑され、それを公にさらされる耐えがたい体験は、決して忘れられるものではありません」とうったえた。

●PTSDを伴う重度の「うつ」と診断

訴状などによると、このバラエティ番組は2016年4月から2022年3月まで放送されていた。進行役をつとめた女性は、飲酒した有名芸能人や僧侶から性的な発言やわいせつな行為を受けたが、局側は容認していたと主張している。

その結果、女性はPTSDを含む重度の「うつ」と診断され、現在も働くことができていないという。放送倫理・番組向上機構(BPO)に申し立てたものの、人権侵害は認定されなかった。今年6月、女性は「局に安全配慮義務違反があった」として提訴に踏み切った。

●「私のような経験をしている人がたくさんいます」

この日の意見陳述では、フリーアナの女性は遮蔽措置のもと傍聴席から姿は見えなかったが、時折声を詰まらせ涙声になりつつも、はっきりした声で自身が受けたという被害体験を語った。

「番組収録の場や放送において、労働者としての人権が守られることなく、男性出演者やスタッフから繰り返し執拗なセクシュアルハラスメントを受け、心と体を病み番組を降板しました。狭く閉鎖された場所で、男性ばかりの出演者とスタッフらに囲まれ、逃げ場のない状況で、唐突に性加害を受け、見せ物のように嘲笑され、それを公にさらされる耐えがたい体験は、決して忘れられるものではありません」

さらに、業界全体の問題にも言及した。

「メディア・エンターテインメント業界には、私のような経験をしている人がたくさんいます。選ばれなければ仕事が得られないというプレッシャーに常にさらされた弱い立場で、仕事を続けるために口を閉ざすことを強いられている人が、本当にたくさんいます。いい加減にこんなことが続くことがないように、私は人生を賭けて提訴する覚悟を決めました」

あいテレビに問い合わせたが、担当者不在だった。

(弁護士ドットコムニュース編集部・塚田賢慎)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る