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JASRAC、音楽教室から「著作権料」徴収へ…なぜレッスンで使うだけでもダメ?
2017年02月03日 10時12分

音楽の著作権を管理する「JASRAC」(日本音楽著作権協会)がこのほど、ヤマハ音楽教室など、楽器の演奏を教える教室に対して、著作権使用料を徴収する方針を固めた。

報道によると、JASRACは、音楽教室での演奏について、著作権法の「演奏権」が及ぶと判断した。来年1月から徴収しはじめることを検討している。

大手のヤマハ音楽教室や河合楽器製作所など約9000カ所が徴収対象となるという。一方で、教室を運営する業界側は反発の姿勢を見せている。

音楽教室から著作権料を徴収することは、法的にどんな問題があるのだろうか。著作権にくわしい高木啓成弁護士に聞いた。

音楽の著作権を管理する「JASRAC」(日本音楽著作権協会)がこのほど、ヤマハ音楽教室など、楽器の演奏を教える教室に対して、著作権使用料を徴収する方針を固めた。

報道によると、JASRACは、音楽教室での演奏について、著作権法の「演奏権」が及ぶと判断した。来年1月から徴収しはじめることを検討している。

大手のヤマハ音楽教室や河合楽器製作所など約9000カ所が徴収対象となるという。一方で、教室を運営する業界側は反発の姿勢を見せている。

音楽教室から著作権料を徴収することは、法的にどんな問題があるのだろうか。著作権にくわしい高木啓成弁護士に聞いた。

●過去にも「公衆」の解釈をめぐる裁判があった

「著作権には『演奏権』という権利が含まれています。そのため、公衆に楽曲を聞かせることを目的として演奏する場合、著作権者の許諾が必要となります。ここでいう『公衆』は、コンサートで演奏する場合が典型例です。

逆にいえば、特定の1人だけに聞かせる目的で、楽曲を演奏する場合は、『演奏権』が及ばないので、著作権者の許諾は不要です」

高木弁護士はこのように述べる。「公衆」とは、どんな意味なのだろうか。

「『公衆』の解釈をめぐっては、過去にさまざまな裁判がありました。たとえば、カラオケ店でのカラオケ曲の再生や、社交ダンス教室でのダンス曲の演奏が、『公衆』にあたるのかどうかが争われて、どちらも『公衆』にあたると判断されました。

特に、社交ダンス教室の事件では、受講生のみに対するダンス曲の演奏(実際にはダンス曲が収録されたCDの再生)も『公衆』への演奏にあたると判断されています。

今回、JASRACは、このような裁判例を踏まえて、音楽教室での生徒に向けて演奏することも『公衆』にあたるという判断で、著作権使用料を徴収することに踏み切ったのだと思います」

●音楽教室での演奏も「公衆」にあたるか明らかになっていない

音楽教室での演奏も「公衆」への演奏となり、JASRACが著作権料を徴収することはできるのか。

「音楽教室での演奏が『公衆』にあたるかどうかは、議論がありそうです。

社交ダンス教室の事件で、裁判所は、受講生は(1)ダンス教室の営業中いつでもレッスンを受けることができることや、(2)マンツーマンかグループレッスンかの選択ができることなども考慮に入れて、受講生に向けての演奏も『公衆』にあたると判断しました。

一方で、音楽教室は、形態がさまざまです。生徒が決まった時間にレッスンを受けなければならない教室もありますし、完全にマンツーマンのみの教室もあります。このような場合にも『公衆』にあたるのかどうかは、裁判例からは明らかにされていません」

ほかに注目すべきポイントはあるのだろうか。

「JASRACが音楽教室から一律の使用料を徴収することが妥当かどうかも、議論がありそうです。

音楽教室によっては、クラッシック音楽やハノン(教則本)など、すでに著作権が切れている楽曲や、その教室のオリジナルの楽曲を利用することも多く、これらの楽曲の使用については、JASRACが著作権使用料を徴収する権限はありません。

したがって、JASRACが音楽教室から著作権使用料を徴収するには、いくつかの問題点をクリアする必要があるといえそうです」

(弁護士ドットコムニュース)

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