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迫る国葬「『考えなくていい』に抵抗しなきゃいけない」、東大で政治学者や憲法学者らが議論
国葬まで約1週間となった9月19日、東京大で「シンポジウム国葬を考える」が開かれた。「国葬を行う法的根拠」「安倍晋三氏が国民的追悼に値する政治家か」について学者や弁護士ら6人の識者が検討した。
主催した哲学者の國分功一郎教授は「公文書改ざんなど社会全体のモラルを崩壊させた安倍政権。国葬に対して何も言わなければ、この政権の完成に手を貸すことになってしまう」と問題意識を説明した。
自民党の二階俊博氏はテレビ番組で「黙って見送ってあげたらいい。国葬がどうだこうだなんて、議論すべきじゃないんだよ」などと発言したとされる。憲法学者の石川健治教授は「『考えなくていい』に抵抗しなきゃいけない。簡単に結論にいかずに、何が起きているのかを考え抜くことが大事だ」と強調した。
まるで「道具扱い」、買い叩かれるクラウドワーカー【フリーランスの光と影・2】
会社に雇用されない「フリーランス」の働き方に注目が集まっている。クラウドソーシングによって参入障壁が低くなり、人脈やドブ板営業なしでも、気軽に踏み出せるようになった。しかし昨年には、DeNAによる悪質なキュレーション(情報まとめ)メディアの問題が大炎上し、安価なコンテンツを量産してきたクラウドワーカーの存在が明るみに出た。(ライター・タキガワマイコ)
野沢温泉スキー場の名物「道路標識」に大量のステッカー、ストックで叩く人も…長野県は「柵設置」を検討
長野県の野沢温泉スキー場(野沢温泉村)にある道路標識に、大量のステッカーが貼られたり、傷つけられたりしているとして、運営会社は3月2日、公式サイト上でマナーを守るよう利用者に呼びかけた。
問題となっている道路標識は、長野県の県道に設置された道路標識。毎年、この時期は降雪のため通行止めとなっており、普段は手の届かない道路標識が雪に埋もれて身近に見られることから、スキーヤーやスノーボーダーたちの人気スポットとなってきた。ところが、今年は例年になく道路標識への被害が出ているという。
道路標識を管轄する長野県の北信建設事務所飯山事務所では、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「道路標識を傷つけたりする行為は問題だと認識しています。道路標識の周囲に柵をつくり、触らないよう注意書きをすることを検討しています」と話している。
「すべて口約束」文化に立ち向かう、フリーランスライターに必要な2つの「契約書」
フリーランスのライターが仕事をする際に直面する様々なトラブル。しかし「すべて口約束や慣習で進められているので、トラブル時の適切な対処方法がわからない。ギャラも振り込まれて初めてわかることが多い」(ライター歴15年・女性)という声が聞かれる。
法的に自衛することはできるのか。著作権を中心とするエンタメ法務に詳しい高木啓成弁護士によれば、資本金1000万円を超える事業者がライターに発注する際には「下請法」に基づく必要がある。本来であれば口頭発注は違法であり、振り込みも受領日から60日以内に完了しなければならない。
高木弁護士は「契約書を作れば、未然に防げるトラブルが多い。ライター、出版社双方の利益のためにも契約書を交わす文化を定着させた方がいい」と指摘する。具体的にどのように進めれば良いのか。高木弁護士に聞いた。
寿司屋の「あがり」1杯1000円、不明朗会計がツイッターで話題…支払わないとダメ?
寿司屋で「あがり」(お茶)と言えば、当たり前のように無料で提供される時代は変わっていくのだろうか。このあがりについて、とある寿司屋で「1杯1000円だった」というツイッターでの投稿が11月、明細の画像付きで話題となった。
投稿された明細の画像では、あがりが1杯1000円で計上されており、2つ注文したものとして計2000円と表示されている。その下には商品合計(税抜)で36370円と表示されており、その合計額に消費税がかかっているので、あがり1杯は税込価格だと「1100円」となっているようだ。
投稿者は自身のブログで、付箋1枚に書かれた「40000円」という飲食代に「思いのほか高い」と不信感を抱き、明細の提出を店側に求めたことであがり代のことが判明したと説明。「鮨屋で『り』の付くモノ(ガリ・シャリ・アガリ)は請求しないという鉄則とは何だったのか」という投稿者が、店側に「本気でアガリに1杯千円を請求するつもりか?」と問いかけたところ、最終的にあがり代の2200円は返金されたという。
この寿司屋のオーナー(大将)は、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、ネットで話題になっていることもすでに認識しているとしたうえで、「寿司屋でお茶がタダというのは変えたいと思っている」と話し、あがり代の請求は店としての方針だという。
返金したことについては、「お客様がご納得いただかなかったので、謝罪したうえでお返しさせていただきました」とした。
今回のような料金の請求は法的に問題ないのだろうか。上田孝治弁護士に聞いた。
「いたずら半分」高校生が階段にローションまいて女性が骨折…どんな罪になる?
高校生がローションとみられる液体を商業ビルの階段にまき、足を滑らせた40代の女性が転倒して腕の骨を折る重症を負った。
読売新聞の報道によると、高校1年生の男子生徒3人は6月4日夜、横浜市の商業ビルのエスカレーター降り口や外階段に液体をまき、通行人が足を滑らせる様子を見て楽しんでいたという。女性が骨折した際に慌てて立ち去ろうとする3人に警備員が声をかけたことで発覚した。
3人は「いたずら半分にやってしまった」と話しているが、商業ビルに滑りやすい液体をまくことはどのような罪に問われる可能性があるのか。また、けが人が出なかった場合でも、法的な問題はないのか。坂野真一弁護士に聞いた。
「吾輩の姿の無断使用」デーモン閣下、NHKアニメに激怒…本当に肖像権侵害?
デーモン閣下がNHKアニメのキャラについて「我輩の肖像が我輩になんのことわりもなく使用されている」として、肖像権侵害を訴えている問題。このアニメはEテレ「ねこねこ日本史」で、擬人化したネコが歴史上の人物に扮している。デーモン閣下が問題視しているのは、第64話に登場した「デーモン風高杉」だ。
デーモン閣下は自身のブログで3月15日、「『デザイン上「偶然」とか「たまたま」似てしまった』ではなく、名前も含めて明らかに【吾輩の姿の無断使用】である」と指摘。「悪意は無いのかも知れないが、無断で使用された事実にかわりはない」と断じ、「不快である」「心身の損害を被っている」とも述べた。番組ホームページでは3月19日までに「デーモン風高杉」を削除している。
「デーモン風高杉」はデーモン閣下が主張するように「肖像権の侵害」にあたるのだろうか。それとも、「表現の自由」として許されるのだろうか。肖像権の問題に詳しい佃克彦弁護士に聞いた。
性犯罪、刑法改正でも抜け穴「強い暴行・脅迫がない性被害は野放し状態」(下)
性犯罪を厳罰化する刑法改正案が6月16日、参院本会議で可決、成立した。明治40年以来大幅な改正がなされていなかった現行刑法が、110年ぶりに大きく動いた。
現行の刑法のどこに問題があるのか。今回の刑法改正については、どう考えればいいのか。性犯罪被害をめぐる上谷さくら弁護士へのインタビューの前編<性暴力の相談「警察は顔見知りからの被害を嫌がる」立件に向けた高いハードル(上)https://www.bengo4.com/c_1009/c_1198/n_6231/>では、被害の実態について聞いたが、この後編では、性犯罪刑法のあり方について尋ねた。
初の日本版「司法取引」で会社は不起訴、元役員らは有罪 弁護士はどうみる?
司法取引制度が初めて適用された贈賄事件で、東京地裁は9月13日、不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)の罪に問われた三菱日立パワーシステムズの元取締役常務執行役員に懲役1年6月、執行猶予3年を言い渡した。この事件では、ほかに元執行役員と元部長の有罪判決が言い渡されている。
司法取引制度は、2018年6月施行の改正刑事訴訟法で導入された。日産の元会長、カルロス・ゴーン氏の事件でも使われた制度だ。
しかし、この事件をめぐっては、会社の責任を免責し、個人の責任を問う運用に批判の声もあがっている。弁護士は今回の判決をどのように見ているか。大森景一弁護士に聞いた。
サークル辞めようとしたら、先輩が「おごった金返せ」と反発…応じる義務はある?
「先輩、おれサークル辞めますね」「それなら今までおごった分のお金を返せ!」。都内の大学生1年生タクミさんは、サークルを辞める際、これまで先輩におごってもらった食事代を返すよう要求されて頭を抱えている。
タクミさんのサークルには、後輩と食事に行く際には必ず先輩が食事代を出すという伝統があった。先輩からおごってもらったように、今後は自分が後輩におごることで、先輩からの恩を返していくのだ。それにもかかわらず、1年生の途中で、タクミさんが後輩におごることもなく辞めようとしたため、「金返せ」と言っているようだ。
タクミさんは、くだらない脅し文句だと考えて、「一度もらった食事代を返す必要はない」と反発している。先輩の要求は法的に通用するのか。伊藤真樹子弁護士に聞いた。